齋藤潮研究室
東京工業大学 工学部社会工学科
大学院社会理工学研究科社会工学専攻
Projects
研究室で取り組むプロジェクト紹介
都市交通新潮流調査プロジェクト 2015年度~
2017年度
<2017(平成29)年度調査内容:未来都市は路面電車に乗って - LRT導入による都市景観の変容 - >
【2017年度調査報告書内容(PDFファイル)】
2017年度調査は都市中心部への軌道交通導入による周辺環境の変化を探った。ポートランド市、シアトル市等米国軌道事例の視察と軌道交通事業者へのインタビューを実施した結果印象に残ったのは、バリアフリーへの厳しい基準認識や軌道周辺街路への美観意識であった。
軌道の設置により、周辺の交通政策、広場の意匠等が、より歩行者にとって利用しやすいものに変化する。こうした変化を促す「触媒」として、すなわち周辺環境の変化を促す存在として、軌道が介在しているのではないかとの視点をもって、都市景観変容の解明を試みた。
以下に示す、調査報告書第1章で調査の指針を確認し、第2章では、現地調査およびヒアリングの手法と、そこから得られた概要を整理した。3章以降については、軌道があることにより影響を与える対象を、Ⅰ歩行空間、広場(第3章)Ⅱ建築(第4章) Ⅲ都市緑地(第5章) Ⅳコンパクトシティ政策下の都市イメージ(第6章)、以上四要素に分け、各要素の観点から軌道敷設後都市景観に生じた変容について考察した。
※以下に用いた文書、写真の著作権は齋藤研究室に帰属します。当該文書、写真転載希望の場合は必ず使用目的を明らかにしたうえで齋藤研究室に事前に連絡相談してください。連絡先:Contactページ
・第1章 都市環境を変化させる「触媒」としての軌道(2,528KB)
・第3章 LRTがもたらす歩行者空間の拡大(5,314KB)
・第4章 軌道と建築デザインの3つの関係性(3,609KB)
・第5章 市街地における芝生軌道の限界と可能性(4,062KB)
・第6章 コンパクトシティ政策下におけるLRTの可能性(7,512KB)
・報告書全文(22,564KB)
2016年度
<2016(平成28)年度調査内容:戦前路面電車胎動期から平成期までの軌道景観考>
2015年度調査を受け、2016年度同調査は、大きく分けて2つの視点に基づいて展開した。
一点目は、国内在来軌道の履歴を参照する視点である。国内で営業している軌道路線のうち、平成期に新規開業したのはJR富山港線をLRT化した富山ライトレール富山港線と富山地方鉄道市内軌道富山都心環状線のみであり、その他大多数の路線はその起源を明治後期から昭和初期にもつ在来軌道線である。今後、宇都宮ライトレール等新規開業する軌道事業計画もあるが、国内の軌道事業を考察していくうえで、在来軌道線の利活用は欠かせない論点である。主に大正期から昭和初期までに、人口が拡大した地方都市では都市計画法に基づき、交通運輸面での整備が急ピッチに進められ、広幅員の街路が登場した。その中で、中心市街地を走行する軌道もただの交通手段というだけでなく、都市の顔としての風格を備えるうえで重要な要素として整備された。本書の前半2、3章では、文献調査に基づき、当該時期の軌道景観について考察し、平成期の軌道景観を捉え直す。
二点目は、軌道空間が都市景観において象徴的な役割を果たしていると結論づけた 2015年度調査のさらなる深化である。2015年度報告書では軌道の各要素に着眼し、国内事例横断的な手法を各章でおこなったが、一つの都市の軌道整備事例の背景や経緯を追ったものではなかった。本書後半4、5章では、札幌市の市電延伸事業、富山市の駅周辺整備事業と具体的な事業の詳細を見ることにより、設計経緯やそこに秘められた設計意図を見出す。
以上、アプローチはかなり異なるが、戦前の都市計画事業との対照、平成期の軌道環境整備事業設計意図の抽出、この二点をもって、国内在来軌道整備、ひいては現在軌道を廃止していたとしても過去に軌道を有していた経験のある都市の、今後の都市交通整備に資する視座を提供し、27年度調査で得た軌道親近性論を補完する。
【2016年度調査報告書内容(PDFファイル)】
※以下に用いた文書、写真の著作権は齋藤研究室に帰属します。当該文書、写真転載希望の場合は必ず使用目的を明らかにしたうえで齋藤研究室に事前に連絡相談してください。連絡先:Contactページ
・第2章 路面電車の胎動期に見る都市の近代化に関する一考察 -豊橋を事例に-(6,520KB)
・第3章 中心市街地における軌道街路の位置付け -平成後期及び昭和初期の富山市内整備事業考-(6,662KB)
・第4章 国内のサイドリザベーション方式導入事例にみるトランジットモールへの射程(5,803KB)
・第5章 軌道周辺空間における領域区分デザイン -富山駅周辺整備事業を対象に-(4,392KB)
・報告書全文(25,959KB)
2015年度
<2015(平成27)年度調査内容:都市景観創造にかかる国内LRTの可能性>
中心市街地の空洞化や高齢化に伴う交通問題、環境への配慮に関する諸問題に対して、これまで公共交通を活かしたまちづくりという視点での取り組みが国内では十全におこなわれてこなかった。そのなかでLRT(Light Rail Transit)は、乗合バスに比べて定時性や輸送人員規模が大きく、輸送人キロあたりの二酸化炭素排出量が少ないため、欧米で多く導入され国内でもその効果が注目されている。
これからの都市景観を検討するうえで、昨今の都市交通はどのような役割を果たしているか、この命題を解きうる各交通手段を探ったところ、LRTが最も適したものであるとの結論に至った。道路上に軌道や電停などの設備が配置されるLRTは、都市の中で目につきやすく、都市景観に与える影響が強い。まちづくりとの連携を伴うLRTの導入によって、都市景観はどのように形成されていくのかを明らかにするため、各意匠面に着目し、現地調査や専門家によるレクチャーを基にして、2015年度は国内LRTの調査をおこなった。
以下に示す、本論第1章ではLRTの取組や導入背景、各要素について概観し、第2章では、本調査でおこなった手法と内容を詳らかにし、レクチャーの内容を紹介する。そして、第3章において、車両デザイン、軌道敷、電停などLRTの各要素に着目して項を分け、生身の人間との「親近性」というキーワードを各項共通の視点として照射し、LRT 導入によって都市景観がいかに形成されていくか、その独自の可能性について具体的考察をおこなう。
【2015年度調査報告書内容(PDFファイル)】
※以下に用いた文書、写真の著作権は齋藤研究室に帰属します。当該文書、写真転載希望の場合は必ず使用目的を明らかにしたうえで齋藤研究室に事前に連絡相談してください。連絡先:Contactページ
・第2章 都市景観創造にかかるLRT の可能性 - 調査とレクチャー (501KB)
<第3章(以下各項ごとに)>
・3章目次 都市景観創造にかかるLRT の可能性- 考察 (326KB)
・第1項 LRT の「親近性」からみた車両外観の意義と課題 (1,497KB)
・第2項 LRT が種々の都市状況と創り出す価値 (1,437KB)
・第3項 LRT の「親近性」から見た軌道敷の象徴的意味 (936KB)
・第4項 LRT への「親近性」を高める車両デザイン- 利用の観点から (1,395KB)
・第5項 LRT の「親近性」から見た電停の意義とその「特権性」(1,334KB)
・第6項 LRT と交通結節点における環境創造 (1,694KB)
・報告書全文 (7,285KB)
1.現地調査の様子(豊橋市内)
2.センターポール化事業後の軌道の様子(豊橋市内)
3.昭和初期都市計画事業時に建造された櫻橋を通過する新型低床車両(富山市内)
4.サイドリザベーション区間の電停および走行する車両(札幌市内)
5.駅前広場の「セミ」トランジットモール区間および走行する車両(富山駅前)
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1.ポートランドストリートカーの一般車両進入禁止(トランジットモール)区間を歩く人々
(OHSU Plaza Station, Portland Streetcar NS Line)
2.海外調査海ヒアリング調査の様子(Seattle City Hall)
3.電停と広場が一体となった空間
(Westlake Ave & Olive Way Station, Seattle Streetcar South Lake Union Line )
4.軌道を走るストリートカーが内部から視認できるコーヒー店(Portland Streetcar NS Line)
5.芝生軌道を走行する車両(JR鹿児島駅周辺)
6.架線柱と軌道敷によって表象される軌道の威厳 (富山駅南口駅前広場)
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1.自動車と並走するLRT(広島市内)
2.花崗岩の板石舗装がつくる格調の高い軌道敷外観(広島市内)
3.新型車両と旧型車両の両方となじむ板石舗装の軌道敷(広島市内)
4.電停の低い段差は歩行者に利用しやすく、車両が乗り上げてこない安心感がある
5.座席幅確保の工夫(富山ライトレール)
6.LRT電停とバス停、二者は支持列柱で分離しながらゆるやかに接続(廿日市市役所前)
7.2015年度実地調査の様子(富山ライトレール車庫見学)
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